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ルイヴィトンバッグネヴァーフルmm編集

「それに、君が怪我の功名という風に考えているとしたら大間違いだな」  と冷たい表情で言った。 「たしかに俺は今、ババを把《つか》んでいる」  下町はあのフィルムが自分にとって持て余すほど危険なしろ物であることを率直に認めた。堂角は軽く頷き、急に表情を柔らげた。 「まあとにかく今日はこっちが詫びに来たんだから、先まわりしてどうこう言うのはよそう。実は飯岡という女は俺から離れるチャンスを狙っていたらしい。妙に野心のある女でね。こういう世界に長くいる内に、大きな材料を握れば一生食って行けるのだというように思い込んでしまったんだな」  下町はじっと堂角をみつめていた。 「つまり、今度のことで君に謀叛《むほん》を起したというわけか」 「そうなんだ。写真の件をわたしに知らせず、自分で処理しようとした」  堂角は鼻で軽く笑って見せる。 「と言っても、寄せ集めの素人同然の連中しか使えなかったわけだ。ここへも押し入ったそうだな」 「来たよ。あの写真を撮った部下も襲われたし、それに全然関係のない深川《ふかがわ》の和菓子屋の主人もやられた」 「和菓子屋……」  堂角は眉をひそめた。 「あのフィルムを現像した家の主人だ。アマチュア・カメラマンで、自分の暗室を持っていた。俺の部下はその暗室を借りたんだ」 「なるほど、そういうわけか」  堂角はそう言い、舌打ちをした。 「朝刊にも出ている。入院しているそうだ」 「すまん」
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